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猫に鰹節

    :好物を近くに置いては油断のならないことのたとえ。

 昼食の材料を買いに行たはずのラグナが連れ帰たものを目にした瞬間ジンはぴくりと耳が跳ね上がるのを自覚したばつ悪げに視線を逸らす兄と状況を楽しんでいるかのようなそれがものすごく気に入らない発する声は自然と唸るようなものになる兄さんなにそれなんか預かといてくれ押し付けられた 断ればいいのにと思うがそんなことができないのはジンも承知しているラグナにそれを預けた張本人が相当尊大というか横柄というか俺様というかとにかく人の話を聞かない性格だと知ているからだだから僕がいるのにそんなの預かるなんてという台詞は飲み込んだ しかしだ預かることについては納得できるとしてうしても許せないことがあるなんで 抱こだしかも背に腕を回し膝裏を抱え上げ俗にいう定番のお姫様抱 僕だてめたにしてもらえないのに 眉間に力を込めて睨みつければグナの腕の中のそれが笑 紅い目を煌かせた笑みはどこからどう見てもジンに対する挑発で実際見せつけるように白い尾を撓らせラグナの腕へと絡ませている遂に紛うことなき唸り声がジンの喉から漏れ始めたところでようやく察したらしいラグナがそれを下ろしにかかるホラジンもう着いたから下りなえ丨 僕もと兄さんとこうしてたいな丨 媚びるような声のジンがぎうぎうと兄に抱きついたところでぶつりジンの中で何かが切れたつかつかと二人に歩み寄り問答無用で引き剥がすそのままぐいと掴んだのはもう一人の自分の胸倉だ ジンは鋳型から抜いたかのように自分と同じ姿かたちをしている違うのは色素や衣服の色そして性格でラグナはどちらのこともジンと呼んでいるがジンはジンのことを黒猫と呼び習わしていた銀色の毛並みの猫を黒猫と称するのはおかしいかもしれないが着ている服と何よりも性格を考えれば黒猫という呼び名が断然ふさわしいとジンは思ている 今もあさりと兄から離れ睨みつけるジンを笑いながら見返しているあたりに確信犯であることが窺えたこれだからこいつのことは好きになれないのだ貴様には貴様の兄さんがいるだろう 僕の兄さんにべたべた触るなちも兄さんじないかそれにこちの兄さんはめたには会わないんだし ちとぐらいいいよね 可愛らしさを装て小首を傾げる黒猫その同意の先しかしジンの牽制のほうが一瞬早いすんでのところでラグナに抱きつき双方の視界を遮る黒猫はやはり笑ている そこでジンの目の前に星が散!!ジンいいかげんにしろ 思わずその場にへたり込めば呆れを含んだ兄の声が降てくる声にも見上げた先の表情にも台詞ほどの怒りはこていないが頭頂部に落とされた拳は容赦がなか思わず涙が零れるくらいには痛い あねえなだのぱこうなんのかだのとぶつぶつ呟きながら兄が腕に下げていた買い物袋を漁るめ息とともに取り出されたものを目にしてジンは耳を跳ね上げた視界の端に映る黒猫の笑みには更に嫌な色が混ざり込む 兄がこちらに手を伸ばす首を横に振て身を引く抗の意思も露わに恨めしげな目で見上げるそんなことで兄が思いとどまるわけもなくさりと首根こを
掴まれたやだ兄さんなんでお前がジンにケンカ売るからだろうが 耳元で金属音が響く兄の手の中にあるのは鎖のついた首輪だ ジンは肩を竦めて抵抗するそういうプレイなら喜んで享受するけれど文字通り戒めの意味でこんなものを首に巻かれるなんてしかもあんな黒猫のためにあいつがにやにやしながら見てる前でにいさんやだ 見られてるのに 未だ頭部に残る鈍痛となにより屈辱のあまり視界が潤そこで兄の手が一瞬動きを止めたもしかしてやめてくれるのだろうかと僅かに期待して見上げれば兄はなぜか思いきり苦虫を噛み潰したような顔をしてあ丨ちくし そんな顔で誤解を招くような言い方すんな がちん と小さくも固い音を立てて首輪の金具を留めてしま完璧に行動を制限するつもりはないらしく鎖のほうはそのまま床に落とされる 苦しくはないけれど首に触る感じが不快だなによりあいつの笑みが楽しげなのを通り越して感心したような色を湛えているのが癇に障るすぐさま外そうとジンは首輪に手を掛けたそこでラグナの牽制ジン外したら今日一緒に寝てやんね丨ぞ 兄さんと寝れないのはいやだでもこの首輪も黒猫も不愉快でとはいえあの兄さんのことだから預けるといても少しの間のことだろうしああでもでも 散考えた末遂に天秤が傾き切ジンはしぶしぶ手を下ろすよし俺は昼飯の準備してくるけど二人で待てられるな 俯いて頷けばラグナは項垂れるジンの頭を二三度撫でたラグナの指が耳を掠めればしんぼりと下がていたそれはぴくりと揺れる兄が苦笑する気配いい子だお前も大人しくしてろよは丨い 黒猫の返事を聞いてラグナの手が離れていくがさがさと買い物袋の音が遠ざかりジンとジンの二人だけがこの場に残された 少しの間耐えればいい考えることでジンは首に纏わりつく違和感とあからさまに注がれる視線から意識を逸ら少し待てば兄が戻てくるもしかすると黒猫への迎えのほうが早いかもしれないジンはじとりと黙て時を待つことにするチンのから聞こえてくる淀みのない調理の音に耳を澄ませて がこの黒猫を相手に果たして沈黙の時間が続くはずがなかわあごい不機嫌!? 駆け抜ける感覚に尻尾の毛が逆立つぞくぞくと背筋にまで及ぶ感覚はいつのまにか黒猫の手の中に捕らわれている尻尾からのものだと睨みつければ黒猫は笑ジンの尻尾に指を滑らせるなせん丨でも見るからに機嫌悪そうなんだもんこれ貴様のせいだろうが いくら黙て無表情を決め込もうとしても尻尾はそうはいかないもので不機嫌を表してぶんぶん左右に揺れていたらしい振り払おうと躍起になるジンに笑いかけ尻尾をしかりと掴んだまま黒猫はもう片方の手を伸ばす
ンが微かな金属音に気づいたときには既に遅い首が前に引かれるなかなか似合てるんじない 犬じあるまいし似合てたまるか そう吐き捨ててやりたいが無理に引かれた鎖のせいで呼吸が苦しいらばせめてと睨みつけても目の前の黒猫は笑うばかりで何の効果もなか 尻尾を掴む黒猫の手が蠢く明らかに熱を煽るような触れ方が疎ましいジンは唇を噛んで耐えた絶対に声だけは出すものかともはや意地だけが頼りであるアブノ丨マルで燃えるていうか僕も兄さんにしてもらおうかなあ どこか陶酔したような声で黒猫が呟く見れば黒い尻尾の先はくるんと丸まていたジンは眉根を寄せる他人の嫌がる様に新しい可能性を発見するあたり本当にこいつはいい性格をしている ふと黒い耳がぴくりと動くジンもほぼ同じタイミングでキチンからの音が途絶えたことに気づくということはようやく兄が戻てきてくれるのだそこで思い至りと黒猫の顔を窺う さき黒猫が口にした兄さんはこの場にいるジンの兄のことではないはずだしかし今の反応のよさとこの根性の悪そうな表情加えて先のどちも兄さんには変わりないという趣旨の発言まさかジンお前のメシできたぞ ひいと顔を覗かせたラグナが緊迫するジンの胸の内を知る由もないラグナは訝しげに二人の弟の顔を見比べ何してんだお前ら 兄さんのジンは可愛いなあと思 黒猫がぱと両手を開けば高い音を立てて滑り落ちるようやく解放された尻尾でジンはぺしりと床を叩いた何が可愛いだいや黒猫のことだから本気でそう思いるのかも知れない 苛立ちのままにまた唸り声を上げそうになるジンだが兄の手前押し黙るしかし疑念は消えていないせめてもの牽制に黒い羽織の裾を捕まえておく気づいた黒猫は目を瞬かせてそれからにこりと笑てみせたその行動の意味がまたくもてジンには分からないケンカしてねんならいいけどほらジン先に食てなうん とはいえ兄に呼ばれれば手を放す他ないジンは招かれるままに食卓へ向かおうとし不満の声が上がたのはその時だ兄さん僕のご飯はすぐに迎えに来るから余計なもんはやるなていわれてんだよあいつが来るまで我慢しなえ丨 ラグナの返事に黒猫はぷうと頬を膨らませる ジンは気づいた先ほどの笑顔はこれだたのだ しかし咄嗟にジンが間に入るより黒猫がジンを排除するほうが速い弛んだままの鎖を全力で引いた黒猫と抗うこともできず倒れ込みゆくジンの視線が一瞬交錯する猫の紅い瞳には射殺さんばかりの勢いで敵意の視線を向けるジンがジンの翠瞳にはどす黒くも勝ち誇たような笑みを浮かべる黒猫が映る 瞬く間に起こた変化についていけないのはラグナでもちろんそれが黒猫の狙いでもあるラグナが声を上げるより引き倒されたジンが身を起こすより速く黒猫はラグナを押し倒したあ僕はこちにしようかな
!? ち ラグナがようやく上体を起こし状況を把握したその時点で既に黒猫は兄の両足の間に滑り込み腰のベルトを外し終えている手際がいいなどという話ではない速すぎる黒猫の行動に阻止する術などあるはずもなくジンのかねてからの危惧が現実のものとなてしま兄さんのこれ飲ませて ズボンの中から取り出した兄自身を弄びながら黒猫は唇をしならせる今まで浮かべていた笑みのような戯れではない本気だ ジンの尻尾が反り返り毛を逆立たせて膨らむ貴様兄さんに触るな!! 黒猫を突き飛ばして座り込みジンは兄を見上げるに焦たような表情にカチンときた自分以外のジンに翻弄されている兄なんて見たくないこんなところぐらいは黒猫のを見習て欲しいと思てしまう兄さんも 僕以外に触らせないではあ!? なんで俺が怒られなきなんね丨んだよ 確かに悪いのは兄にちかいをかけた黒猫のほうだけれどさりと状況に流される兄も悪いのだそこらへんを兄はちとも理解してくれないそれどころか今から説教でも始めそうな表情で見下ろしてくる ジンはぶんぶんと尻尾を振りながら考えた末取り出されたままだた兄を両手の中に閉じ込め先端を咥え込んおいジン こういうときは状況に流されやすい兄がありがたいのだけれど自分以外にもこうだと困てしまうまだ熱を持つに至ていなかただけマシかとりあえず兄を黙らせるために咥え込んだもののそのあたりをどうやて理解してもらうかが問題だ ぞろりと一度舐め上げて口を離す目だけを動かして見上げればもう咎めようという気はないのかわずかに息を上げる兄がいた二人だけなんてずるい僕もいるんだからね貴様 唐突に耳元に湧いた声と兄を包む手に重なるもうひとつの手ジンの剣幕などお構いなしで割り入た黒猫はやたらと楽しそうな声で囁く僕も混ぜてよとだけだから誰が一緒にするぐらいいいじないほら早くしないと僕が全部しちうよ ね などと黒猫が首を傾げたところでジンが折れるわけもないとはいえこのまま放ておけばこの場の主導権を握るのは自分ではなくもう一人の自分のほうだと認めている部分もある 結局ジンは黙たまま顔を伏せた黒猫が満足そうに笑ジンお前らいいかげんに ラグナが我を取り戻したのはほんの一瞬のことであるジンが先端に吸いつき黒猫が側面に舌を這わせれば諌める声はすぐに荒くなる呼吸に掻き消された 昼間から事に及ぶのは久しぶりだと思うじわじわと熱を上げていく兄に煽られジンの思考も少しずつ鈍ていこの場に浸透する粘ついた水音のみならず首に纏わりついたままの違和感と時折動きに合わせて鳴る鎖にまで微かな疼きを覚えてゆるりと尻尾を振 アブノ丨マルで燃えるとは黒猫の言葉だけれどああ確かにそうかもしれないと思う程度には毒されている
 不意にラグナが動いた下肢に絡みつく弟の頭を無理矢理押しのけそれでも抵抗したジンの視界に白が降りかか黒猫も同様だたのか隣から声が上がるふあくし 顔にかかたものを舐め取るジンの前で脱力したのかラグナは後ろへ倒れ込もうとするずるずると滑る背中はしかし途中で止まそれどころか不自然に硬直してい 見れば兄の背後いつからいたのかもう一人よう楽しかたか兄さん 白いコ丨トのがいた 硬直するラグナを見下ろすラグナどこか黒猫と似たような笑みを浮かべているただし金色の前髪から覗く目は少しも笑ていない 黒猫が抱きつこうとすれば白いほうの兄は笑て片手を振と待てなすぐ済むから俺が戻るまでにそれ落としとけよは丨い 黒猫は心底嬉しそうに返事をするこの素直さ恐らく状況を引掻き回したことに満足しているのだろうつくづく思うが本当にいい性格をしているジンはじろりと視線を向けるが黒猫は嬉として顔を擦ていた 白いラグナは硬直し続けるラグナの襟をむずと掴んで無理矢理引張り上げるその笑顔があまりにも眩しいてことだいいたいことは分かてるだろうがちと付き合えよ ああジンは同情も似た心持ちで返事もできずにずるずると引き摺られていく兄を見つめるしかしこれに懲りて黒猫に流されることがなくなれば儲けものだと思い直し顔に降りかかた白を指で掬ては舐める作業へと戻